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秩序ある時代の音楽は穏やかだし、溌剌としている。そして、その国もそうである。不安定な時代の音楽は激しく、荒々しい。そして、その国も歪んでいる。

2023.01.21

「音楽ってなんだろう」④

※「このコラムは2003~2005年にかけてメルマガとして配信をしたものです。
当時の私の音楽観を述べたものですが、自分自身の考えはあまり変化していないため、
基本的にそのまま掲載をしています。その視点でお読みください」

■今日のバイブレーション■

     秩序ある時代の音楽は穏やかだし、溌剌としている。
     そして、その国もそうである。
     不安定な時代の音楽は激しく、荒々しい。
     そして、その国も歪んでいる。
                       (中国の古典より)  
                      
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●今日のバイブレーションから思い浮かんだ事●
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 前回に引き続いて中国の古典からの引用。

歌は世につれ,世は歌につれというところか。この国は今、どこに向かおうとしているのだろう。

僕の青春時代であった60年代半ばから70年代にかけての音楽的特徴は、
いうまでもなくフォークソングの台頭である。アメリカの反戦フォークそのも
のの移植もあったが、次第に和製フォークとしての
ジャンルが確立された時代といえる。
 その中には、フォークが他の音楽ジャンルと一線を画すプロテスト性を過
分に持った曲もあったが、ひいてはニューミュージック、現在のJ−POPS
につながるような、青春賛歌の味わいをもった佳曲がたくさん生み出された。

 前者の代表としては「山谷ブルース」「友よ」を歌った岡林信康や、「べ
平連」のフォーク・ゲリラの動きがあるし、後者としては吉田拓郎、オフコ
ース、井上陽水、トワ・エ・モアのほか現在も活躍中のビッグネームが、
ずらりとそろっている。

 新しい秩序を求めて、若者たちが、「意義申し立て」を行った時代であるか
ら、国自体は歪んでいたのかも知れない。高度成長期の最中でもあったから、
全てがエネルギーに満ち溢れ、ゴツゴツとぶつかりあうことで、それぞれが、
その活路を切り開いてゆくようなダイナミックな時代であった。


 時代として不安定ではあったという表現をもちいれば、音楽も、
それほど洒落たテイストはほどこされていなかったともいえる。荒さや激しさは、
磨き抜く手間をかける事よりも、一刻も早く自分の思いをメロディにのせて喋ってし
まわねばという、切迫感のなせるメッセージでもあった。
 
いま、私たちの国の音楽はどうなっているだろうか。

メディアの中だけで、短いライフサイクルを終え続ける、多くの歌を耳にする
たびに、「ああ、本当の歌が聴きたい」と切実に、願ってしまう。
それは、あの時代の、暑苦しいほどの志に裏打ちされた歌たちへの回顧だけなのだろうか。

 秩序をうしなった時代らしく、激しい歌が欲しい。
荒ぶる声で、今の時代を歌う、若者の声が欲しい。

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