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私は危険な職業が好きだ。歌手になったのも危険だからだ。(ジルベール・ベコー:シャンソン歌手)

2023.05.30

■今日のバイブレーション■

    私は危険な職業が好きだ。歌手になったのも危険だからだ。
               (ジルベール・ベコー:シャンソン歌手)
                       

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●今日のバイブレーションから思い浮かんだ事●
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「あーと・ぶらっさむ For Family」の最終日は、信州の田楽座による
公演であった。表方のスタッフとして会場の手伝いをしていた私の目に、
永六輔さんの姿が映った。テレビで拝見するよりも、ずっと大柄な方で
あった。田楽座からご招待を差し上げたものであるらしい。
その瞬間、「あっ! 残念!」という思いが込上げて来た。
 いうまでもなく永さんはデュークエイセスの重要なブレインとして、
「女ひとり」「いい湯だな」「フェニックスハネムーン」といった曲の製
作に関わった経験をお持ちである。

 お声掛けをして私たちのコーラスも聴いて頂きたかった。

私たちのグループであるHOTDOGSが、まもなくシニア世代となる団塊世代
への応援歌という気持ちで歌っている部分があることをお知らせしておき
たかった。できれば、「2,3曲書いてやろうか?」というお声を導き出
したかった。最近は、あまり作詞をなさらないという噂を聞いてはいるが、
それでも「もしや」という悔いは残る。

 昨年3チャンネルで放映された「人はなぜ歌うか」という番組で、連続
したトークをなさっていたことを思い出し、ふと本棚に眼をやると、その
テキスト版が目に付いた。寺山修司事件での副産物で、奥にしまいこまれ
ていたものが、並べ替えの時に表面にあらわれてきたものらしい。

 こういうシンクロニシティは活用しない手はない。

パラパラ読み返してゆくうちに、上述のバイブレーションのような言葉の
群れに出会った。いままで引用してきたものよりもグッと直接的な言葉で
音楽を評している言葉たちを、永さんの選択眼でずらりと並べたページで
ある。「ははあ、このページに気付かせるための段取りとしての寺山事件
、および田楽座だったか」と納得。これから時折、孫引きさせて頂くこと
になるかもしれない。

 ともあれ、歌手という職業は危険なものであると思う。
応援をしていただく方々に、モミクチャにされるという経験はあまり無く
とも危険であることに違いはない。それは、歌というものは、取り繕うこ
とが出来ないほどに、その個人の本性をさらけ出してしまうものであるか
らだと思う。生身の身体から発せられる声は、時間にとどまることはなく、
人の心を勝手にかき乱しては消えてゆく。多分、同じ心情になったとして
も、表現やそこに含まれる情報量が同じである事は決してないだろう。
 
 自らを切り裂いて「さあ、私はこれ以上のものでも、これ以下のもので
も御座いません。トックリとご覧あれ」と宣言してしまうのが歌なのだと
思う。この危険性は,病みつきになる。ストリーキングも然り。

 天下のジルベール・ベコーと比するには、あまりに小さな存在である私
ではあるが、危険度は同じである。

 もっとも、生活を持続してゆく上での危険性は、
家内のほうがよく知っているらしい。

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