カラオケ発明者に「イグ・ノーベル賞」
2023.11.13
■今日のバイブレーション■
カラオケ発明者に「イグ・ノーベル賞」
(10月2日の新聞報道より)
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●今日のバイブレーションから思い浮かんだ事●
「カラオケで歌を取り戻した日本人」という表現があった。
20数年前に当時東京芸術大学で教鞭をとられていた音楽学者の小島美子さん
が新聞のコラムに書かれていたと思う。
我が国の屈折した歌の歴史のなかで、人前で歌を歌うことは罰ゲームのよう
になり、恥をかかせる事を目的に命令されたというようなイントロから入り、
カラオケがその呪縛を解き放ち、歌うことの喜びを改めて人に与えたという内
容であったと記憶している。
そのカラオケの原型を発明した大阪の音楽家に「イグ・ノーベル賞」が贈ら
れた。この賞はユーモアに溢れ、科学への関心を高めた研究が対象とされると
の事。訳すと愚かなノーベル賞となるようで、少し違和感があるが、確かにカ
ラオケの登場は、すきま産業的なニュアンスで、あっというまに世界にまで広
がった。
「平和に貢献」というのがその授賞理由である。
当時、僕らのグループも随分とスタジオで録音に参加した。コーラス部分の
担当である。楽器関係のスタジオミュージシャンたちも、スタジオからスタジ
オへと駆け巡っていた。その分、生活も潤っていたはずだ。
しかし、今、音楽家が生活をしてゆくには極めて厳しい時代となった。
人々は聴くことよりも歌う喜びにめざめ、生演奏をいれる店は極少数派となり、
加えて、カラオケ録音にもシンセサイザーの打ち込みが通常となった。
まさに四面楚歌である。
当時、懸命に走りながら、「結局自分たちで自分の首を絞めているようなも
んジャン」と呟いていた、あるミュージシャンの横顔を思い出す。