音風景あれこれ ⑫
2023.03.03
◆ひとみ ハラリ まばたきアート◆
いくら、同時に処理できる音はひとつであるといわれても、脳内には、その
音の痕跡が、限りなく積み重ねられてゆきます。「耳は、回しっ放しのテープ
レコーダーである」と評した生理学者もいますが、すべてが記憶に刻まれてい
るわけです。
コンピュターが生活の中に定着した今、ファイルの断片を掃除するディスク
クリーンアップや、きちんと整理するデフラグという言葉はご存知だと思いま
すが、耳にはそのような都合のいい機能が装備されていないようです。
その点、眼に関しては、見たくなければ目蓋をとじればいい。
「ひとみ ハラリ・・」は、まばたきをテーマにしたアート展で、まばたきを
しているたびに、確実に見過ごしているものに気付いて欲しいとの思いで、
造られた、イベントモニュメント。(1/11朝日新聞朝刊)
この発想には詩を感じます。
すべてがあることに安心してしまわず、
耳を凝らすことを思い出す一年でありたいと願う、この頃です。