コラム

Columnコラム

学びのカテゴリー 第一章その1 「武蔵自然体の法則」

2023.03.17

■■■『コミュニケーション力を高める!★声みがき術!』■■■            
          
  執筆者:牧野俊浩(セラピー音楽家・ヴォーカルアドヴァイザー)
    
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
■■■ 学びのカテゴリー 第一章その1 「武蔵自然体の法則」 ■■■

まず第一章では、より豊かな声を生み出すための第一歩。
あなたの身体を作り変えてゆくことに専念してゆきます。

声みがき術の最終的な到達点は、
自分の声のホームポジションを発見することです。
ホームポジションというのは、全身に声がひびくように感じる
音程のことを指します。そのポジションはすべての人にとって同じという、
わけではありません。

背の高い方、低い方。少しふくよかな体型の方、痩せている方。

それぞれに違うポジションがあると思ってください。

その音程を見つけやすくするために、響を感じやすい身体を創って行くのです。
第一章では合計8つの法則を学んで行きます。


最初に法則名をお伝えしておきましょう。

1:武蔵自然体の法則
2:ドレミゆるの法則
3:丹田百叩きの法則
4:フウフの法則
5:ティラミスの法則
6:天地の法則
7:エイトフォーの法則
8:コマネチの法則

この8つであなたの身体をつくりかえてゆくのです。

今回はその1「武蔵自然体の法則」です。

最近の人は「宮本武蔵」っていってもピンとこないかもしれませんけど、

武蔵が著した「五輪書」という剣術における哲学書があります。
ある人は人生の指針として愛読されているようですが、
人間としての心の構えから戦いに及んでの姿勢まで事細かに記されています。


ほぼ私と同年齢の頃から書き始めたとのことですが、さすがに聖(ひじり)です。
改めて読み直してみて、わが身の至らなさにつくづく恥ずかしい思いをしました。

「地の巻」に次のようなくだりがあります。
これは武蔵が提唱していた自然体を表現した奥義とも言える部分でしょう。
(原文は新規販売の冊子に掲載するとして、ここでは現代文的に噛み砕いて掲載)

一 兵法の身なりの事

ザッと、都合のいいように解釈をしますと
顔はうつむくのでもなく、仰ぐのでもなく、傾けておくのでもない。
目は妙にみはったりしてはいけない。額に皺をよせたりしてはいけない。
(中略)
少し顎を前に出すようなつもりで、首筋はぐらぐらさせずに両肩はストンと力を抜
いて背筋をピンと伸ばし、決してお尻を引いてへっぴり腰になってはいけない。
膝から足先にまでしっかり力をいれる。(ということは、腰から膝までは少し遊び
をもたすということだろうと思います)そしてお腹をしっかりとはる(おへその辺
りに力をこめるということ)
(後略)

(中略)(後略)の部分は、多分武士としてのたしなみの部分でしょうから今回はは
ずしましたが、ここまでの様子でも、凛とした気品のある姿勢が想像できませんか。


さらに武蔵は言います。

一 足づかいの事

つま先をすこし浮かすようにして、踵(かかと)を強く踏むとあります。
実際に私もこの教えのようにやってみましたが、どうも「踵を強く踏む」というあた
りが腑に落ちないのです。

皆さんもおやりになってみてください。

ね、どうも、踵に力をいれると全体の重心が後ろのほうに移ってしまって不安定にな
ってしまうのです。

試行錯誤をしながら、この姿勢は一体なにを目的にした形だろうかと、もう一度原点
にもどってみました。いうまでもなくこの姿勢は戦いに望んでの自然体のあり方を説
いたものです。敵がどのようにかかってこようとも、すぐにそれに対応して自由に体
を動かす極意なのです。

この形で安定を求めるならと思い、いわゆる「踵」ではなく、膝からまっすぐに降り
た部分、つまり「土踏まず」の外側に重心を移動してみました。
左右の足とも外側で支えることで、見事に安定感を得ることが出来ました。

その後少し調べてみると、確かにその方法でよいとの事で安心をしました。
その部分を「踵骨体(しょうこつたい)」というのだそうです。


自分自身で実験しながら、私は高校時代の自分の姿を思い出していました。
柔道部に所属し、練習に励んでいた頃です。あの頃はまさしくこういった自然体を
自分のフォームに取り入れていました。

激しい動きで、重心が定まらなくなってきた時に、自分が戻ろうとするのは、
この自然体だったはずです。

それほど強かったというわけではありませんが、
一応三年間で二段まで昇段できたのも、そういったホームポジションを
知っていたからかもしれません。


さてここまで、興味深くお読みいただいたあなたも、そろそろ我に返って、
「これ、発声法とどんな関係があるの?」と思い始められたかもしれません。

はっきりいって、これが声を出すときの基本です。間違いありません。

例えば、今までにボイストレーニングを受けられた方にお聴きします。
最初は、「はい、先ずそこにたってみてください」から始まりませんでしたか。

次に「体の力を抜いて、重心をお腹のあたりにもってきてください」と言われません
でしたか。

もし、そういう段取りで進められなかったとしたら、よほど独自のメソッドをお持ち
の先生です。普通は、先ず声をだす身体の姿勢のチェックからはいります。


でも、そういわれてもなかなか自然体というものは自分自身で納得できないものだと
思います。

その時に、この武蔵自然体のポーズを思い出してみてください。

きっと、スッと身体のポジションが定まってくるはずです。

武蔵自然体の法則のまとめです。

1 足を肩幅より少し狭いくらいに開く(場合によっては閉じていても構いません)
2 膝から下で上体をささえるつもりで、重心を左右均等に両足の土踏まずの外側
  にふりわけて立っていることをイメージする。
3 膝は少し遊びがあってよい。
4 お腹は少し前に出すつもりでお尻を安定させる。
5 背筋はピンと伸ばして上体は上に伸びている姿勢をとる。
6 顎(あご)は引きすぎない。頭の重さを首からすこし逃がすつもりで心持顎を前。
7 肩の力を抜いて両手は両脇にだらりと下げておく。
8 目はまっすぐに前方をみること。
9 顔はうつむいたり、仰向いたりしない。

この姿勢があなた自身が勝負声を出すときのホームポジションをです。
鏡をみて、左右に傾いていないかどうか確認してみてください。
そして、頭の中にも、その立ち姿のイメージを焼き付けてください。

兵法という観点だけでなく、いつでも返ってゆける自分のホームポジションを持つ事
は、とても安心感をもたらすものです。
是非、練習をしてしっかり身につけてしまってください。
先ずはこれが声をみがくための最初の一歩です。

あなたの姿勢は、すでにあなた自身を雄弁に語っていることを肝に銘じてください。

皆様方のご意見を頂きたいと思います。
解りにくい表現などがありましたら、是非ご指摘下さい。

一覧に戻る

有限会社 文化センターボックス

私たちは障がい者アート協会を応援しています

アート協会
「障がい者アート協会と私たちの願い」⇒リンク先はこちら
所在地
〒359-0038
埼玉県所沢市北秋津876-2-B-103
TEL
04-2998-0750
FAX
04-2998-0751
お問い合わせはこちら