音風景あれこれ ㉙
2023.04.30
◆歌と音楽のある風景◆
興味深いタイトルの本に出会いました。
人と人を結びなおすという視点で音楽の役割を語った本。
「うたと音楽のある風景」(文芸社)
「ショートストーリーコンテスト」実行委員会:編とあります。
音楽にまつわる様々なドラマが、10代から80代までの方々それぞれの筆致
で綴られ、合計824作品が集められたそうです。その中から選ばれた、大賞
1作品、準大賞4作品、佳作35作品が収められていました
多くの作品が、自分と家族や、知人との関係を、音楽というキーワードで思
い出し、過去の風景の中での修復をこころみるという構成ではありましたが、
それなりに、一作ごとに、ホオーッとため息がでてきました。
シチュエーションは勿論それぞれに違うのですが、どの作品も、最後の読後
感が似ている事への、ホオーッでもありました。
なんだか「いっぱいのかけ蕎麦」状態といえば判る方にはわかってもらえる
でしょうか。
決して、それぞれの作品にフィクションのにおいがするというわけではあり
ません。一様にジーンときますし、まだ泣ける自分に気がつくことは、自分で
も悪い気はしないのですが、「未形形で、書かれるドラマ。その中で音楽の果
たす役割」を考え始めている僕にとっては、これだけ集められてしまうと「泣
かすだけが音楽じゃないだろ」と、意地悪く受け止めてしまう結果となりまし
た。
それでも、それぞれの作品の主題となった曲のほとんどは、自分でも、気に
入っているものばかり。大半が「歌物」であったことも、自分なりの音楽セラ
ピー理論を裏付けているようで、納得したことも事実です。
ちょっと辛口に私論を述べてみましたが、興味のあるかたは是非一度手に取
ってみてください。音楽の癒しの形の、一例ではありますから。
(文芸社さん、怒らないでくださいね)